
この映画、見たかったんです![]()
以前(2003年)、
マキノ雅弘監督没後10年で
マキノ雅弘監督特集をしていたんです。
マキノ監督インタビューを見て
彼の傑作が
この『浪人街』を聞き
是非見てみたいと思っていたんです。
ところが…
『浪人街』は
4回もリメイクされていたんですね。
●『浪人街』1939年版
●『酔いどれ八萬騎』1951年
●『浪人街』 1957年版
●『浪人街』 1990年版
そのうち3作品はマキノ雅弘監督作品、
90年版はマキノ雅弘は監修なんです。
でも、傑作と呼ばれたものは
この中にありません。
傑作と言われたのは
オリジナルの
『浪人街 第一話 美しき獲物』
1928年(昭和3年)のサイレント映画です。
でも、この
『浪人街 第一話 美しき獲物』は
現在見られるのは、
ほんの8分だけ
(本来は長編映画だったそうです、残念ですね)
しかも、
いきなりクライマックス
これだと何が何なのか解りません。
(映画の素晴らしさは解りますけど・・)
そこで、1990年に製作された
日本映画の父、牧野省三
追悼六十周年記念作品
の『浪人街』を
見ることにしました。

若干内容は違っていても
大まかなあらすじは同じです。
さあ、
タイトルの“浪人“とは
なんでしょう?
“浪人“とは、
江戸幕府の
大名取りつぶし政策などにより、
主家を失った武士のことです。
現代でも、
入学や就職ができない人や
職を失った人を“浪人“と呼びますね
(たぶん・・・)
そんな“浪人“が
集まった所が浪人街です。
浪人街にある事件が起こります。
夜鷹狩りです。
え!夜鷹って?
遊女なんですねー、
それも1番低い位の・・
1番高い位は、
江戸吉原遊郭の太夫(花魁)ですね。
中位は、湯屋で働く湯女や、
旅籠で働く飯盛女
これは大衆的な売春婦です。
ここまでは屋根付きで、
いいんです。
ところが、
夜鷹は街頭で人を誘い
草むらか小舟の上で体を売ります。
しかも小銭で、
軽い食事か、お酒でなくなる程度
その日暮らしの生活です。
そんな世の中で、
一番弱い人間を
虫けらのように、
なぶり殺しにするんです。
犯人は、
旗本なんですねー。
将軍家のもとで、
ぬくぬくしている
腐れ武士たちです。
江戸時代には、
戦はありません。
武士たちは名ばかりで、
本来の生き方を忘れてます。
旗本たちは、
刀の試し斬りとして
夜鷹をなぶり殺しにしていた。
ほんと卑劣な奴らです
彼らは、
将軍家に直属した
武士ですから
権力があります。
逆らうことは出来ません
浪人の赤牛は、
自分も権力に肖りたくて
卑劣な旗本のもとにつきます。
ここで立ち上がるのが
女性です。
女性は本当に強い心を
もっていますねー。
でも、
逆に旗本たちに
捕えられて
牛裂の刑
両手両足を紐でしばり、
牛につけて走らせ
人体をばらばらにする刑
にされそうです。

それを聞いた
3人の浪人が
120人の旗本相手に戦いを挑みます![]()
この映画の魅力は、
まさに、ここでしょう ![]()
武士は、
事の成る成らざるを問わず、
死地に赴かなければならぬこともある。また、
成功しないとはっきりわかっていても
それに体当たりして、
生死を賭けなければならぬ場合もある。その覚悟を平生持っていれば、
大ていの事はできるのだ。『葉隠れ』より
1928年(当時)の若者の心に
火をつけましたね
映画は大ヒットしました。
8分しか残っていない
『浪人街 第一話 美しき獲物』
はここから始まります。

3人と120人との戦い
それを見て
旗本側についていた
浪人赤牛が
3人の浪人に加勢します。

おのれ裏切ったな


馬鹿![]()

表返ったのじゃわ
当時、流行語になりました。

この映画の製作当時
マキノ・プロダクションでは
大変なことが起きました。
スタジオの火災で大半を失われ、
片岡千恵蔵ら大スターの集団退社。
残っているのは
無名の若手俳優たち
脚本の山上伊太郎は、
その無名の若い役者たちを
存分に活躍させようと、
この映画の脚本を書きました。
マキノ・プロダクションの経営してる
「日本映画の父」牧野省三は、
19才の息子
マキノ雅弘に監督をさせました。
絶妙な移動撮影 ![]()
![]()
90年のリメイクなんか
足もとにも及びません。
この年のキネ旬1位に輝きましたね。
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江戸の長屋に住む
浪人の荒牧源内は、
妻のお新にスリをさせ、
その金で酒を飲む毎日。
そのお新が
悪名高い旗本にさらわれてしまう。
源内は同じ長屋に住む
浪人の助けを得て、
旗本集団に立ち向かっていく。
《Yahoo! 映画》より
Data
| 1928年 | マキノ・プロダクション御室撮影所 |
| 監督: | マキノ雅弘 |
| 原作/ 脚本: |
山上伊太郎 |
| 総指揮: | マキノ省三 |
| 出演: | 南光明 谷崎十郎 根岸東一郎 河津清三郎 |
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私もお世話になっております。
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牧野省三 1921年 1922年 1928年 1937年 1938年 1939年 1940年 1941年 1943年 1951年 1952年 1953年 1954年 1952年~ 1955年 1956年 1957年 1959年 1964年 1965年 1966年 1967年 1968年 1969年 1972年 マキノ映画鑑賞作品一覧
豪傑児雷也
実録忠臣蔵
浪人街 第一話 美しき獲物
浪人街 第二話 楽屋風呂 第一篇
崇禅寺馬場
恋山彦 風雲の巻
恋山彦 怒濤の巻
忍術三妖傳
弥次喜多道中記
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男の花道
長谷川・ロッパの家光と彦左
ハナ子さん
女賊と判官
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続・丹下左膳
風雲児信長
1954年
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第一部・次郎長売出す
第二部・次郎長初旅
第三部・次郎長と石松
第四部・勢揃い清水港
第五部・殴込み甲州路
第六部・旅がらす次郎長一家
第七部・初祝い清水港
第八部・海道一の暴れん坊
第九部・荒神山前編
人生とんぼ返り
次郎長遊侠伝 秋葉の火祭り
『丹下左膳』シリーズ
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坤龍の巻
完結篇
浪人街
たつまき奉行
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日本侠客伝 雷門の決斗
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日本侠客伝 花と龍
関東緋桜一家









