真言宗_密教の祈禱”護摩とは”、大日経とは

今までの大乗仏教では、
ブッダの教えが文字で記されたものであった。

これを
「顕(あき)らかな教え」という意味で
顕教(けんぎょう)と呼ばれている。

ところが
空海が開いた真言宗では、
文字で表現できない秘密の教えで
密教(みっきょう)という。

文字は、インド語の梵字(ぼんじ)
そして
大日如来を中心とした宇宙の真理を
視覚的に表現した
曼荼羅(まんだら)

さらに
真言を唱え、祈りを通じて、
悩み、病気、苦しみなどを解決し
災いをはらって福をまねく
除災招福(じょさいしょうふく)

それをもたらす
護摩(ごま)焚きなど
神秘的なものばかりである。

果たして
真言宗とは、どんなものなのか?

 

スポンサーリンク

開祖

空海(くうかい)
真言宗_密教の祈禱”護摩とは”、大日経とは
(774年~835年)

804年 留学僧るがくそうとして
遣唐使船で入湯した空海は
唐の都・長安で、当時の中国密教の第一人者
青竜寺の恵果けいか
(746
805年)

について金・胎両部の密教を授けられ
806年に帰国した。

帰国した空海は
まず、自ら持ち帰った経典類を
請来目録しょうらいもくろく
としてまとめ朝廷に献上。

その内容は、
216461巻の密教経典を中心に
仏具九種、仏画曼荼羅など10しき
その他13種で
密教経典類は新しく日本に
伝えられたものばかりであった。

密教のりどころとする経典は
大日経だいにちきょう』と
金剛頂経こんごうちょうきょう』であるが

空海は、理論面と実践面を統合して
教理を立て、密教を宗派として
成立させ“真言宗”を開創。

809年
京都の高尾山寺(神護寺じんごじ)に住して
“真言密教”の法燈を掲げる

816年 高野山を賜り、金剛峯寺こんごうぶじを開創

823年 賜わった教王護国寺(東寺)と合わせてこの二寺を密教の根本道場とした

そして、
インドや中国には見られなかった
密教の組織的、論理的展開を果たし、
宗教として大成させたのである

空海の書

空海は、
中国で書を芸術の域まで高めた
王羲之おうぎし
の筆跡を完全に自分のものにしていた。

さらに、入唐当時に流行っていた
顔真卿がんしんけいの書法も取り入れた。

現在では、
平安時代初期を代表する三人の能書家
(『三筆』という)で有名だが

11世紀はじめ頃までは、
菅原道真すがわらのみちざね小野道風おののとうふうと空海で
『三聖』と呼ばれるほどの
日本の「書聖」である。

風信帖ふうしんじょう
真言宗_密教の祈禱”護摩とは”、大日経とは
最澄さいちょうは空海に『摩訶止観まかしかん』を贈り、
その礼状が『風信帖ふうしんじょう』である。

王羲之おうぎしの影響を受けつつ、
文字の大小、筆線の抑揚(よくよう)
運筆の緩急(かんきゅう)など
変化に富み独自の書風を築いた。

灌頂歴名かんじょうれきめい

金剛・胎蔵両界の灌頂を授けた時の人名を記録した手記。

スポンサーリンク

本尊

大日如来だいにちにょらい

真言宗_密教の祈禱”護摩とは”、大日経とは

両界曼荼羅りょうかいまんだら

胎蔵界曼荼羅図たいぞうかいまんだらず

私達が生きている世界の成り立ちが表現されています。

金剛界曼荼羅図こんごうかいまんだらず

9つのマス目は悟りに至る道筋を表現しています。

両界曼荼羅りょうかいまんだらは、僧座を中心として
右側胎蔵界曼荼羅図たいぞうかいまんだらず
左側金剛界曼荼羅図こんごうかいまんだらずをまつっています。
真言宗_密教の祈禱”護摩とは”、大日経とは
方角でいうと、本尊北側にあり、
東側胎蔵界曼荼羅図たいぞうかいまんだらず
西側金剛界曼荼羅図こんごうかいまんだらずです。

密教寺院の堂内で両界曼荼羅りょうかいまんだら
左右に掲げてその中心に自分が立てば、
我は大日如来だいにちにょらいになり
宇宙の中心にいるということが身をもって知るのです。

つまり、この空間が大宇宙の縮小図なのです。

 

スポンサーリンク

経典

 

大日経だいにちきょう大毘盧遮那成仏神変加持経だいびるしゃなじょうぶつじんぺんかじきょう))

基本教理は第一巻の住心品じゅうしんぽんにこめられている。

いかんが菩提とならば、
いわく実の如く自心を知るなり

人間は自分の心に仏性をそなえているところが、
いちばん肝心なのです

「大日経」は、
生命の本源として大日如来だいにちにょらいの仏徳をあらわす
梵字である「阿字あじ」を説いている経典であり、
ここでいう阿字とは菩提心のことを意味しています。

阿字あじこれ菩提心ぼだいしん

『秘蔵宝鑰ひぞうほうやく』下巻

自分のもっている小さな菩提心が
大きく開いて即身成仏する過程を
「大日経」では、
三句の法門(仏・菩薩などの教えのこと)によって説いています。

 

金剛頂経こんごうちょうきょう

この経は金剛界こんごうかいの思想を説いたもので、
金剛界曼荼羅こんごうかいまんだらのもとになっている経典。

教えの特徴

 

密教を修める人は、
密教で示すところの戒律と、
密教以外の大乗仏教(顕教)で
示すところの戒律を実践しなければならない

ということをまず示している。

そして顕教けんぎょうにおいては、
仏教とは
すなわち釈尊によって説かれた教えであると説くのに対し、

密教では、仏教とは
真実の仏である大日如来だいにちにょらいの教えであると説く。

真言しんごんとは、
宇宙絶対の真理を表現したもので、
すなわち大日如来だいにちにょらいの説法のことであり、
これを理解するためには、
この大日如来だいにちにょらいと心身ともに
一体となって修行を実践すれば、
この身、このまま仏になることができる
即身成仏そくしんじょうぶつと説いている。

密教の行法 ”護摩”

真言宗_密教の祈禱”護摩とは”、大日経とは

語源

古代インドのサンスクリット語「ホーマ(homa)」を音写した言葉で、
「供物をささげること」「犠牲」「いけにえ」を意味する。
焼かれた火(炎)が天の口・・・で「天」はこれによって供物(焼かれた供物)
を食し、代わりに福を人に与える、とされています。

 

方法

『大日経』の「護摩盆」には四十四種の火法が記されている。

不動明王ふどうみょうおう愛染明王あいぜんみょうおうを本尊とし、
その前に火炉をしつらえた
”護摩壇(ごまだん)”を設けて、
護摩木を焼き、
火中に穀物芥子げし丸香がんこう散香さんこう塗香ずこう薬種・・等々)
を投じる、というもの。

そして、こうして燃え上がった炎を、
仏そのもの、智慧の象徴とした。

 

護摩木

燃料として用いられるものは“壇木”
炎の中に供養物の一つとして
投じられるものは“乳木”と、
用途によって呼び名が変わる。

用いられる木の種類は、桑・柏・松・ひのき・杉など。

ただし、節目がまっすぐで、虫食いや
腐食部のない浄木でなければいけないとされている。

 

目的

息災法そくさいほう
地震、雷、火事、台風や洪水などの災害、
あるいは、個人的な苦難、危険などがないように祈ること。

増益法ぞうやくほう
積極的に利益や幸福を求めて祈願。
福徳と繁栄、縁結び、長寿延命などが祈られる。

降伏法ごうぶくほう
魔障ましょう怨敵おんてき調伏ちょうぶくしたり
折伏しゃくぶくしたりする荒々しく危険の多い祈禱。
すぐれた阿闍梨がこれを行う。

④ 敬愛法けいあいほう
降伏法の逆で、和合や親睦をほかる祈禱。

⑤ 鉤召法こうちょうほう
諸尊・善神・自分の愛する者を召し集めるための修法。

そして、それぞれの祈願の目的に応じて、
その目的にふさわしい仏を中心とした
別尊曼荼羅べっそんまんだらをつくり、祈願する。

 

種類

実際に護摩壇で護摩木を燃やして行うのを
護摩」

観念的に智慧の火で煩悩の薪を燃やすのを
ない護摩」と言う。

 

十八本山

空海の没後
高野山と東寺(教王護国寺)を中心に
真言宗はいくつかの門流に分かれて発展した。

 

東寺真言宗 総本山教王護国寺(東寺)
https://toji.or.jp/

高野山真言宗 総本山金剛峯寺
http://www.koyasan.or.jp/

真言宗御室派 総本山仁和寺
http://www.ninnaji.jp/

真言宗大覚寺派 旧嵯峨御所 大覚寺
https://www.daikakuji.or.jp/

真言宗醍醐派 総本山醍醐寺
https://www.daigoji.or.jp/

真言宗泉涌寺派 総本山泉涌寺
http://www.mitera.org/

真言宗善通寺派 総本山善通寺
https://www.zentsuji.com/

真言宗善通寺派 大本山随心院
http://www.zuishinin.or.jp/

真言宗中山寺派 大本山中山寺
http://www.nakayamadera.or.jp/

真言三宝宗 大本山清荒神清澄寺
http://www.kiyoshikojin.or.jp/

真言宗須磨寺派 大本山須磨寺
http://www.sumadera.or.jp/

真言律宗 総本山西大寺
http://www.saidaiji.or.jp/

真言律宗 大本山宝山寺
http://www.hozanji.com/

信貴山真言宗 総本山朝護孫子寺
http://www.sigisan.or.jp/

新義真言宗 総本山根来寺
https://www.negoroji.org/

真言宗豊山派 総本山長谷寺
http://www.buzan.or.jp/

真言宗智山派 総本山智積院
http://www.chisan.or.jp/

スポンサーリンク
関連キーワード
pickup
おすすめの記事