一人がとなえる念仏が
万人(多数の人)の念仏となり、
万人の念仏が、
また一人の念仏に集約される
という考え方を説く。
そして、良忍(りょうにん)が
“阿弥陀如来(あみだにょらい)”から
感得したこの教えは、
一人一切人 一人一切人
一行一切行 一行一切行
是名他力往生 十界一念
融通念仏 億百万遍 功徳円満
という文章で表現されている。
これは、
一則(いちそく)一切(いっさい)・
一切(いっさい)則一(そくいち)
ということばであらわされるように、
大宇宙のなかにあるすべての物は、
それぞれが関連し合って存在している。
だから、一微塵(きわめて細かいもの)を、とればそのなかに大宇宙が含まれているし、宇宙は微塵を含んでいる
という哲学思想で、
『華厳経(けごんきょう)』の 経典を
もとづく考えかたである。
一則(いちそく)一切(いっさい)・
一切(いっさい)則一(そくいち)
そして、一人の念仏が
あらゆる人の念仏と融通し合って
往生浄土(おうじょうじょうど)が可能にする
と説くことから
「 他力往生」と名付けている。
さらに、念仏だけではなく、
一つの善い行ないが、
他のあらゆる善い行ないと融通する
とも説いている。