ラロ・シフリンの映画音楽

Lalo Schifrin
(1932年~2025年)

ラロ・シフリンが6月26日に亡くなりました。
私にとってシネマ・ミュージックの
窓口を開いてくれたのが
ラロ・シフリンの音楽でした。

ラロ・シフリンの一番有名な曲といえば
やはり
ドラマ『スパイ大作戦』ですね、
1966年~1973年までTV放送していて
第7シーズン・全171話もあるヒット作でしたね。

スパイ大作戦

また
1988年には『新スパイ大作戦』も放送しました。
こちらは第2シーズン・全35話でしたね。

新スパイ大作戦

さらに
トム・クルーズ主演の映画
ミッション: インポッシブル』シリーズもそうです。

最新作は8作目、すごいですね~。

次にラロ・シフリンの曲で有名なのが
あのカンフーブームをおこした名作
燃えよドラゴン』(1973年)です。
ブルースリーのアチョーが入って
強烈でしたね。

燃えよドラゴン 予告編

 

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ラロ・シフリンについて

 

1932年6月21日
アルゼンチンのブエノス・アイレス
で生まれました。
パリ音楽院で楽理を学び、
26歳でアメリカに移住。

ニューヨークで、
ディジー・ガレスピーに認められ、
彼のバンドの
ピアニスト兼アレンジャー
として活躍しました。

なんと
クインシー・ジョーンズの楽団にも
参加していたんです。
そこで得たノウハウをもって
TV・映画界の作曲家として活躍しました。

ラロ・シフリンが音楽担当した映画で
近年知られている作品は
ジャッキー・チェンが出演した
ラッシュアワー』シリーズでしょう。

もう、映画の冒頭から
”音楽はラロ・シフリンだな”
とわかるぐらい。。。
なんちゃって『燃えよドラゴン』でしたね。

中華系が濃い『ダーティ・ハリー5』も
そうでしたが、『燃えよドラゴン』以降の
チャイナ・ミュージックはあんまりよくない。
こういう失敗物もアレンジャーである
ラロ・シフリンの特徴ですね。

ジャッキー・チェンの映画では
1980年の『バトルクリーク・ブロー
も手がけましたね。

あと
ポール・ニューマン主演の映画では
1967年の『暴力脱獄』や
(第40回アカデミー賞作曲賞ノミネート)
1980年の『世界崩壊の序曲

アラン・ドロンやシルビア・クリステル
が出演したエアポート・シリーズの第4作
エアポート'80』(1979年)

『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカスが
監督デビューした『THX 1138』(1971年)など
数々の映画音楽を作りましたね。

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私の好きなラロ・シフリンの映画音楽

 

ここからは
私の好きな
ラロ・シフリンのシネマ・ミュージック!!

ラロ・シフリンの名曲は
スパイ大作戦』や
燃えよドラゴン』だけじゃない!
それを知ってもらいたいので
書かせていただきます。

 


  

タン

ドラマチックなタンゴ連発!

1998年
スペイン / アルゼンチン
監督:カルロス・サウラ
映画監督とダンサーの恋を
情熱的なタンゴの調べに乗せて描くドラマ。

スペイン映画の名匠
カルロス・サウラ監督が
手掛けた映画

カルロス・サウラ監督は
フラメンコやスペインの伝統的舞踊を
取り上げた作品を数多く製作していて
「フラメンコ三部作」なども作っている。
今回のテーマはタンゴ
そのタンゴの曲を
ラロ・シフリンが音楽担当するんですね~。

この映画を見たときはビックリしました。
スペイン映画、
しかもタンゴの映画を見ていたので
musicLalo Schifrin
スーパーが出ていたのを見て
え~、あのラロ・シフリンが”タンゴの曲”?
って違和感を感じてました!
でも、冒頭からすばらしい曲が流れていましたね
その曲が
ロス・インミグ ランテス(移民たち)です。

ん!何で、タンゴの映画に(移民たち)?
と思いでしょうが、
この映画の主人公の祖父母は移民なんです。

その移民たちがブエノスアイレスの街に来た時代を
群衆劇で描きます。
とてもリアルで残酷に。。
その時流れる曲が
ラ・レプシオン(抑圧)です。
このシーンは圧巻です。

ラロ・シフリンの父は
ヴァイオリン奏者で
ベラルーシからの移民なんです。
ラロ・シフリンは
ブエノスアイレス生まれ、
この映画に深く関わりますね~。
なので、音楽の力量は半端ないです。

もちろん
古典タンゴやモダンもやってますよ。
でも、アレンジャーである
ラロ・シフリンの真骨頂を知る
すばらしい曲ばかりでしたね。

タンゴ 予告編

位  

ジェット・ローラー・コースター

ラロ・シフリン
遊園地メロとスリリング、どちらも最高

1977年
世界最大のジェット・コースターを狙う謎の爆破魔!
『エアポート』シリーズと
『刑事コロンボ』のスタッフがタッグを組んだ
パニック・サスペンス超大作!

これね、まずラロ・シフリンが
出したCDアルバムに
華麗なるヒッチコックの世界+ラロ・シフリン組曲
があって、ヒッチコック映画の曲と
ラロ・シフリンの曲が半々に入っているんです。
その中に、
アミューズメント・パークのテーマ
というものがあって
最初、遊園地で流れてくるメロディーが
最後、オーケストラになる
ばらしい曲があったんですよ。
それと、
The Best of Lalo Schifrin
というアルバムの最後に
ジェット・ローラー・コースターのテーマ
があって非常にスリリングな曲になっている。
この映画音楽! もしかして
ラロ・シフリン自身が
だいぶお気に入りらしい。。

遊園地的曲は
《ジェット・ローラー・コースター オリジナル・サウンドトラック》
魔法の国の木馬より
アミューズメント・パークのテーマ
のほうがはるかに好きです。
2曲比較して聞くのもいいかもね!

Rollercoaster (1977) - Official Trailer

位    

悪魔の棲む家

ラロ・シフリン
耳に残る悪魔のメロディー

1979年
ニューヨーク郊外アミティヴィルの屋敷に
引っ越してきた平凡な一家が、
超常現象の数々に見舞われていくホラー映画。

「実話を映画化した」らしんだけど
ジェイ・アンソン著の『アミティヴィルの恐怖』
という原作本がある。
しかもベストセラーだった。

まあ、とにかく
あの印象深い建物と
ラロ・シフリンの耳に残る不気味なメロディー

この映画は大ヒット!シリーズ化となり
今年アメリカで公開した最新作
「アミティビルVR」
ラロ・シフリン
なんとシリーズ第66作品目!
とてつもない人気シリーズになってしまった。

悪魔の棲む家 テーマ曲

(第52回アカデミー賞作曲賞ノミネート)
CD

位    

ダーティハリー2

ラロ・シフリン
マグナムの威力を最大限に引き出した曲

1973年
ハリー・キャラハンの魅力を損なうことなく、
あらゆる面で進化を遂げた理想的な続編。

ラロ・シフリン絶頂期の曲。
1973年は
ドン・シーゲル監督の突破口!
燃えよドラゴンを作曲した年で
何本もの映画の作曲を抱えていた
そんなノリノリの時に作ったから違うんです。
前作のダーティハリーも作曲した
ラロ・シフリンでしたが
今回は力強い、インパクトのある曲です。
先ほどの『悪魔の棲む家』といい
『燃えよドラゴン』といい
コーラスや声が入っている曲は
パワーを感じ、印象に残りますね
原題はMagnum Force
マグナムの力です。
画面いっぱいに44マグナムが現れ
この曲が流れてきます。
そして、
曲が終わると
銃口がこちらを向いて、火を放つ

今まで、続編やパート2は
コケてたんですが、
この『ダーティハリー2』は
前作を超えるヒット作になりました。

ダーティハリーの代表曲になりましたね。

ダーティハリー2 予告編

位   

ダーティハリー4

ラロ・シフリン
ラロ・シフリン復活のヒット曲

1983年
クリント・イーストウッドが
自ら監督を担当しシリーズ最大のヒット作となった。

私の中で『ダーティハリー』シリーズは
3部作で終わっていました。
主演のクリントイーストウッドは
『アウトロー』や『ガントレット』など
次々とヒット作を出し
ドル箱スターになったので
ハリー・キャラハンを演じる必要がなくなっていました。

音楽もラロ・シフリンから
ジェリー・フィールディングになり
『ダーティハリー3』や『ガントレット』など
イーストウッド映画で活躍するようになった。

ジェリー・フィールディングも
いい曲作るんですよ。

だから、私の中では
ダーティハリーの曲は
『Magnum Force』
だった。

ところが
『ダーティハリー3』から
7年後の1983年。
ダーティハリーが復活したんです。

原題はSudden Impact
突然の衝撃です。

ほんと衝撃でした。
さらに音楽がラロ・シフリン
こちらも見事に復活!だから半端ない

サンフランシスコの夜の街を
空撮でぎりぎりの高さで撮影。
そこに、ラロ・シフリンの音楽!
パトカーのサイレンと
ポリスの無線のやりとり
シンセーの音がまじって、カッコイイ
アレンジャー魂が全開のこの曲は
日本でも有線やテレビで流れていました。

Sudden Impact Theme Song

また、
第一作『ダーティハリー』で流れていた
空しい曲メイヤー
(少女の遺体が発見されたシーンやラストで流れていた曲)
『ダーティハリー4』で
サンパウロに行くときに流れている曲
サンパウロへの道
これ、2つとも同じメロディーなんです。
もう、
ハリー・キャラハンのテーマ曲
といっていい曲なんですが、
このメロディーに歌詞つけて
歌った曲が『ダーティハリー4』の
エンディング曲
This Side Of Forever
なんです。

Roberta Flack - This Side Of Forever

 

これでダーティハリー・シリーズは
本当のラストになった。
(クリントイーストウッド自身が監督したし)
と感動したんですが。。。
3年後に「ダーティハリー5」を
出しましたね~
中途半端に、、作らなきゃいいのに。。


位   

ブリット

ラロ・シフリン
ラロ・シフリンのシネマソングNo1

1968年
スティーブ・マックイーン主演
による刑事アクションの名作。
サンフランシスコの
急斜面を利用したカーアクションが
名シーン

やはり、ラロ・シフリンの
シネマソングNo1はこの曲
ブリットでしょう。

映画のオープニング映像も
かっこいい!!
スタッフの文字が移動しつつ
その文字の中から次の映像が出てくる。
そこにラロ・シフリンの曲が
ぴったり合って素晴らしい!
このオープニング映像は
ある映画の教科書にも出ていたぐらい
当時は感動ものでしたね。

また
主役を演じた
スティーブ・マックイーンも
自分が演じた映画で一番好き
と言っていました。

Bullitt - Opening Credits

 

CD

こうやって振り返ってみると
たとえ
映画本編の内容は憶えてなくても
ラロ・シフリンが作った曲は
強烈に残っていることがわかりますね。

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最後に

ラロ・シフリンは映画音楽以外にも
ジャズ・ミュージシャン
クラシック音楽の指揮者など活躍しています。

そのラロ・シフリンの
魅力がたっぷりつまっているアルバムが
The Best of Lalo Schifrin

これは
1976年に発表されたアルバム
ブラック・ウィドウ』と
1977年に発表されたアルバム
タワーリング・トッカータ
から選りすぐりの曲をあつめた
ベストアルバムです。

なかには「ジョーズ」や「キングコング」
のアレンジ曲も入っていますが。
アルバムのタイトルでもある曲
ブラック・ウィドウ

何やら、ジョン・ウィリアムズの
モンスター映画のテーマ曲を、
ファンクへと変貌させたとか


タワーリング・トッカータ

こちらは、バッハの有名な二短調の
くトッカータ〉とフーガをリズミカルに
アレンジしたもの


ラロ・シフリンのアレンジャー魂を感じる
当時の代表曲
また、ドラゴンフライという曲は
トンボという意味で、
何度も繰り返すリフレーンがまた
ラロ・シフリンのトンボなんでしょう。
これが、また、たまらん

最後まで読んで頂いてありがとうございます。
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